FOMC 2018年の利上げ見通しは実質上方修正

想定通り利上げを決定、経済見通しはより強気に

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2018年03月22日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2018年3月20日~21日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来の1.25-1.50%から0.25%pt引き上げ、1.50-1.75%とすることが決定された。金融市場では、今回の会合での利上げが確実視されていたため、決定内容にサプライズはない。

◆声明文における経済全体の現状認識は「労働市場の改善が続き、経済活動は緩やかなペースで拡大している」とされ、前回会合の声明文から幾分トーンダウンする表現となった。他方で、経済見通しの冒頭の部分には、「経済見通しはここ数ヵ月で強まった」という一文が追加され、先行きについては以前よりも強気の内容になった。

◆今回公表されたFOMC参加者による経済見通しでは、声明文でも言及された通り、実質GDP成長率見通しが上方修正された。また、失業率の見通しについても、総じて前回見通しから低下(改善)した。インフレ率に対する見方も、前回見通しから上方修正されたが、GDP成長率、失業率に比べて、PCE価格指数の修正幅は小幅であり、フィリップスカーブに対する見方は以前よりも慎重になったと解釈できる。

◆FOMC参加者の政策金利の見通し(ドットチャート)では、2018年末の中央値は2.125%と2017年12月時点の見通しから変わらず、2018年内に3回(今回の利上げに加えて、年内にあと2回)の利上げを見込む結果となった。ただし、2018年に4回以上の利上げを見込む参加者は7名に増加し、年内に3回の利上げを主張する参加者の数(6名)を上回った。

◆今後の利上げペース(2018年に3回なのか4回なのか)に関しては、FOMC参加者内でも意見が分かれており、明確な示唆は得られなかった。利上げ継続自体は既定路線であるが、FOMC参加者はあくまで経済指標次第で利上げのタイミングを見極めていくとみられる。インフレ動向に加えて、税制改革の効果の見極めが焦点になろう。

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