米国経済見通し 高まる下方修正リスク

税制改革は後ずれの公算が大きく、野心的な改革も困難

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2017年04月20日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2016年11月の選挙によって、大統領所属政党および上下院の多数党を全て共和党が確保したため、議会運営がスムーズになるとの見方がこれまで優勢となってきた。しかし、オバマケアの廃止・置き換え法案が、共和党内からの反対によって採決にすら至らなかったことで、トランプ政権は政策遂行能力の低さを露呈し、先行きの政策に対する疑念は大きく高まった。


◆トランプ政権は、今後の政策の優先課題として、減税を中心とした税制改革に軸足を移していくとみられる。しかし、日程が後ずれする公算が大きくなっているのに加えて、共和党内での意見調整の難しさによって、税制改革などの経済政策による景気刺激効果は期待していたほどにはならない可能性がある。


◆短期的には、政策に対する期待感が剥落することで、大統領選挙以降、上昇してきた株価や、企業および消費者のマインドが腰折れする可能性には一定の注意が必要と考えられる。だが、これまで企業や消費者のマインドが改善基調を強めたのとは裏腹に、ハードデータに見る実体経済面での改善は緩慢なものに留まってきた。マインド悪化による影響も限定的なものとなると考えられ、過度に悲観視する必要はないだろう。


◆足下までの経済統計を踏まえると、個人消費が前期比年率1%を下回る低い伸びとなることを主因に、2017年1-3月期の実質GDP成長率は同+1%台前半へと減速したとみられる。しかし、雇用・所得環境の着実な改善などに鑑みると、1-3月期の個人消費の減速は一時的なものとなると見込まれ、4-6月期には再び、個人消費を中心に成長率が加速すると見込む。

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