FOMC 利上げペースの見通しはほぼ変わらず

0.25%ptの利上げを決定、2017年はあと2回の利上げ見通し

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2017年03月16日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2017年3月14日~3月15日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.25%pt引き上げ、0.75-1.00%とすることが決定された。金融市場は今回のFOMCでの利上げを事前に織り込んでおり、想定通りの結果であった。


◆今回の声明文では、経済の現状認識は、「経済活動は緩やかなペースで拡大し続けた」とされ、前回声明文から据え置きとなった。他方、インフレ率に関する記述が上方修正され、インフレ目標の達成が近づいていることが明示された。


◆今回公表されたFOMC参加者による経済見通しは、2016年12月会合で公表された前回の見通しから全般的に軽微な変更に留まった。FOMC参加者の政策金利の見通しに関しても修正は軽微であり、2019年末まで毎年3回程度(2019年内の上昇幅は0.875%ptであり、3~4回)の利上げを見込む結果となった。


◆FRBにおけるデュアルマンデートである雇用の最大化、物価の安定は、両者とも達成されつつある。今後も経済がFOMC参加者の見通しに沿って推移すれば、政策金利は徐々に引き上げられていくことになるとみられるが、FOMC参加者による経済見通しは市場予想と比較しても保守的であり、達成のハードルは高くないだろう。


◆とりわけ2018年の経済成長率見通しは、国際機関などに比べても控えめとなっている。主な要因は財政政策の織り込み度合いと考えられ、仮に減税やインフラ投資などの景気刺激的な政策が実行に移され、景気の押し上げに作用することになれば、利上げペースが速められる可能性も十分にあろう。


◆巨大なバランスシートを維持しつつ利上げを続ければ、超過準備に対する利払いの増加など、FRBにとっての弊害が大きくなるため、バランスシート縮小に着手する必要性は高まる。バランスシート縮小については今後の会合で議論を続けることが表明されたが、開始する時期は着実に近づいていると考えられる。

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