サマリー
◆2016年12月13日~14日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.50-0.75%へと0.25%pt引き上げられることが全会一致で決定された。今回のFOMCでは政策金利が引き上げられるとの見方が市場の大勢を占めていたため、利上げの決定については想定通りの結果であった。
◆声明文における経済の現状認識は、「経済活動は年央から緩やかなペースで拡大している」とされた。「今年前半に見られた緩慢なペースから加速した」とされていた前回声明文から表現がわずかに変更されたものの、足下の景気に対する見方は大きくは変わっていない。
◆今回公表されたFOMC参加者による経済見通しでは、2016年、2017年、2019年の実質GDP成長率の見通しがそれぞれ+0.1%ptずつ上方修正された。また、失業率の見通しについても、2016年、2017年、2019年がそれぞれ0.1%ptずつ下方修正(改善)されており、FOMC参加者による景気循環の先行きに対する見方は総じて上方修正されたと言える。
◆今回の会合において最も注目された、FOMC参加者の政策金利の見通しでは、2019年末まで毎年3回(0.75%pt)の利上げを見込む結果となった。前回9月調査時点では、2017年の利上げペースは年間2回とされており、2017年の利上げのペースが引き上げられる結果となった。
◆2017年以降、利上げの必要性が高まるのとは裏腹に、トランプ次期大統領による政策動向や市場動向への配慮から、利上げを行いづらくなると見込まれる。今回のFOMCでは2017年に3回の利上げを見込む結果となったが、大和総研では2回の利上げという従来の見方を維持する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国、設備投資費用の即時償却を復活・拡張
製造業・情報産業の新規投資、及び対米直接投資の増加要因か
2025年10月07日
-
米国経済見通し 利下げ再開後の注目点は?
景気下振れリスクが懸念される時こそ、インフレ動向を注視すべき
2025年09月24日
-
FOMC 0.25%ptの利下げを決定
先行きの利下げペースに関しては予想がばらつく
2025年09月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日