FOMC 2017年の利上げペースが上方修正

全会一致で1年ぶりの利上げを決定

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2016年12月15日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 土屋 貴裕

サマリー

◆2016年12月13日~14日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.50-0.75%へと0.25%pt引き上げられることが全会一致で決定された。今回のFOMCでは政策金利が引き上げられるとの見方が市場の大勢を占めていたため、利上げの決定については想定通りの結果であった。


◆声明文における経済の現状認識は、「経済活動は年央から緩やかなペースで拡大している」とされた。「今年前半に見られた緩慢なペースから加速した」とされていた前回声明文から表現がわずかに変更されたものの、足下の景気に対する見方は大きくは変わっていない。


◆今回公表されたFOMC参加者による経済見通しでは、2016年、2017年、2019年の実質GDP成長率の見通しがそれぞれ+0.1%ptずつ上方修正された。また、失業率の見通しについても、2016年、2017年、2019年がそれぞれ0.1%ptずつ下方修正(改善)されており、FOMC参加者による景気循環の先行きに対する見方は総じて上方修正されたと言える。


◆今回の会合において最も注目された、FOMC参加者の政策金利の見通しでは、2019年末まで毎年3回(0.75%pt)の利上げを見込む結果となった。前回9月調査時点では、2017年の利上げペースは年間2回とされており、2017年の利上げのペースが引き上げられる結果となった。


◆2017年以降、利上げの必要性が高まるのとは裏腹に、トランプ次期大統領による政策動向や市場動向への配慮から、利上げを行いづらくなると見込まれる。今回のFOMCでは2017年に3回の利上げを見込む結果となったが、大和総研では2回の利上げという従来の見方を維持する。

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