サマリー
◆2016年11月1日~2日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.25-0.50%で維持する決定が行われた。また、FRB(連邦準備制度理事会)が保有する資産の規模は、現状の水準を維持することが決定された。今回のFOMCでは政策金利が据え置かれるとの見方が市場の大勢を占めていたため、想定通りの結果であった。
◆声明文における経済の現状認識は、「経済活動の拡大は今年前半に見られた緩やかなペースから加速した」とされ、前回声明文と同様の表現となった。声明文全体としての変更は軽微なものとなったが、インフレ率に対する見方が、現状、先行きともに上方修正された。
◆追加利上げに向けては、「さらなる証拠を待つ」というスタンスが据え置かれた。ただし、「FFレートを引き上げる根拠は引き続き強まった(has continued to strengthen)」とされ、前回会合時から一層、利上げに向けて前進したことが明示された。
◆今回、声明文でインフレ率に関する見方が上方修正されたことで、これまで追加利上げに慎重だったFOMC参加者が、利上げ賛成に転換する材料は揃いつつある。大統領選挙後に政治や金融市場が不安定化したり、12月のFOMCまでに公表される経済統計が極端に落ち込むようなことがない限り、12月のFOMCで1年ぶりの利上げが決定される可能性が高いだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米失業率は4.6%に上昇
2025年10・11月米雇用統計:政府閉鎖の影響を踏まえ、慎重な評価が必要
2025年12月17日
-
米銀最大手、9.7兆ドルの国債保有増加余地
レバレッジ比率緩和、米国国債市場の機能改善をもたらすか
2025年12月16日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

