FOMC 年内利上げへの地ならし

2017年の利上げペースはより緩やかに

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2016年09月23日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 土屋 貴裕

サマリー

◆2016年9月20日~21日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.25-0.50%で維持する決定が行われた。足下では軟調な経済指標が散見され、今回のFOMCでは利上げが見送られるという見方が市場では優勢であったため、政策金利の据え置きは想定通りである。決定に際しての投票では、0.25%ptの利上げをすべきとの反対票が3票投じられた。


◆声明文における経済の現状認識は「経済活動の拡大は今年前半に見られた緩やかなペースから加速した」とされ、前回声明文から上方修正された。また、経済の先行きに関しても、上振れと下振れリスクが均衡したことが示された。


◆利上げを決定しなかった理由に関して、FOMC後の会見では、インフレ率は目標を下回っており、労働市場にも一層の改善の余地があるためと説明された。また、利上げ賛成派が懸念しているとみられる商業用不動産などでのバブルの可能性を認めつつも、経済はそれほど過熱しておらず、金融政策が後手に回るリスクは小さいとされた。


◆FOMC参加者の政策金利の見通しを見ると、2016年末の中央値は0.625%となり、年内に1回の利上げを見込んでいる。見通し提出者17人のうち、14人は年内に少なくとも1回の利上げを支持している。一方、2017年は2回の利上げが見込まれ、前回見通しから利上げペースは緩やかになった。


◆2016年内には11月と12月の2回のFOMCが予定されているが、選挙直前であることに鑑みると11月FOMCでの利上げの可能性は低いと考えられ、大和総研では12月の追加利上げを見込む。利上げに踏み切るための「さらなる証拠」として必要と考えられるインフレ率は、エネルギー価格による下押しの剥落で今後加速する公算が大きい。

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