サマリー
◆2016年7月の非農業部門雇用者数は前月差+25.5万人となり、市場予想を上回った。6月と比べて雇用者数の伸びは減速したものの、2ヵ月連続で同+20万人を上回る増加となり、非農業部門雇用者数増減の3ヵ月移動平均は同+19.0万人まで回復した。5月の失速によって減速が懸念された雇用者数の増加ペースは堅調さを取り戻している。
◆7月の失業率は、前月から横ばいの4.9%となった。就業者数は前月差+42.0万人と大幅に増加し、失業者数は同▲1.3万人と2ヵ月ぶりの減少に転じたが、非労働力人口が同▲18.4万人減少したことが失業率を押し上げる要因となった。労働参加率は前月から+0.1%pt上昇しており、労働市場全体として見れば改善が進んだと言える。
◆個人消費がサービス業を中心に雇用を誘発し、雇用の増加が更なる個人消費を生み出すという好循環は今後も継続するとみられる。一方で、完全雇用に近づく中、今回のような月20万人超の雇用者数の増加が先行きについても維持されるのは困難とみられ、雇用の伸びは徐々に鈍化していく公算が大きい。
◆今回の雇用統計は労働市場の堅調さを確認する結果となり、FRBの追加利上げを後押しする材料になると考えられる。ただし、インフレ率がFRBの目標である2%を下回る状況が続く中で、利上げを急ぐ理由に乏しいとみられる。9月のFOMCまでには8月分の雇用統計を含め、多くの経済統計が公表されるため、それらの結果を待つ必要があるが、大和総研では2016年12月のFOMCにおいて次回の追加利上げが行われるという従来の見方を維持する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日