米国経済見通し Brexitの影響は限定的

内需を腰折れさせるほどのインパクトはないが様子見は必要

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2016年07月21日

  • 土屋 貴裕
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆英国がEU離脱を決めたことで市場は大きく変動したが、米国経済への影響は現時点で限定的とみられる。数年先までを見据えると、ロンドンの金融センターとしての機能が維持されるかなど、先行きに不透明な部分があり、英国とEUの交渉次第となる。


◆米国経済の現状は、減速が懸念された労働市場の改善ペースが再加速し、個人消費は堅調さを維持している。企業部門に関して、企業マインドは製造業、非製造業ともに持ち直し、生産の悪化にも歯止めがかかりつつある。しかし、設備投資については依然慎重な姿勢が続いている。


◆好調な個人消費の増加が主な押し上げ要因となり、4-6月期のGDP成長率は1-3月期から加速する見込みである。7-9月期以降についても個人消費主導の経済成長が続くという見通しに変更はない。Brexitによって欧州を初めとした海外経済の下振れリスクが高まったことを考慮すると、外需見通しについては従来よりも慎重にならざるを得ないが、それが個人消費を中心とした内需を腰折れさせるほどのインパクトはないだろう。


◆欧州の動向に加えて、大統領選も様子見すべき対象となる。共和党はトランプ候補が正式に党の指名候補となったが、経済政策の詳細は明らかではなく、伝統的な共和党の政策と異なる部分についてすり合わせが必要となろう。民主党も党大会を経て同様に政策の詳細が明らかになるか注目され、内容次第で金融政策も影響を受けることになる。

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