米国経済見通し 論点は利上げ開始の先へ

家計需要を中心に内需は底堅さを保ちインフレ加速の可能性高まる

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2015年11月24日

  • 土屋 貴裕
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆10月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、利上げを12月のFOMCで検討することを明示し、12月の利上げ開始が妥当だと予想するFOMC参加者の発言も相次いだ。利上げ開始の可能性が高まり、議論は2回目以降の利上げなどに移り始めていると考えられる。


◆減速が懸念された労働市場が力強い改善を示し、個人消費や住宅投資といった家計需要は、一時的要因を除けば改善傾向が続いている。企業活動は生産部門で引き続き冴えないが、内需の底堅さを背景に底打ちしつつある。


◆内需の底堅さは物価にも波及し、サービス価格およびサービス部門の賃金上昇率加速の兆しが見られ、インフレ加速の可能性は高まりつつある。ただし、金融政策の変更に向けて、やや気がかりなのは期待インフレ率の低下となる。


◆鉱業関連投資の下振れや、製造業の伸び悩みにより、当面は設備投資が上振れするシナリオは描きづらい。米国経済の先行きに関しては、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の増加を牽引役にして、内需主導の景気拡大が続く見通しである。

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