米国経済見通し 利上げ可能との認識

金融市場の混乱などで萎縮したマインドの影響が留意点

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2015年09月24日

  • 土屋 貴裕
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆9月16-17日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)での政策変更はなかった。堅調な内需を背景に利上げを議論したとされ、海外経済および金融市場の混乱が米国経済への下押し圧力になる可能性を見極めるために、政策金利は据え置かれた。


◆多くのFOMC参加者は、米国経済がほぼ利上げできる状態になったと認識しているとみられる。利上げ開始には、市場が安定して利上げを織り込んでいることに加えて、財政関連の問題が起きていないことが必要である。


◆現在の米国経済は、労働市場の量的な改善が着実に進み、緩やかな賃金上昇を背景に、家計の消費と住宅投資も増加基調を維持している。鉱工業生産など、製造業でも持ち直しに向けた動きが見られるが、金融市場の混乱などが家計と企業のマインドを萎縮させ、ハードデータの悪化につながるリスクが留意点である。


◆先行き、内需主導の景気拡大が続くという見通しに変更はない。足下の海外経済の減速や金融市場の混乱が米国の景気拡大を腰折れさせるほどの影響はないと見込んでいるが、とりわけ株価の影響を受けやすい個人消費の動向に注視していく必要があろう。

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