成長戦略の一端を担う米国のFTA

『大和総研調査季報』 2013年秋季号(Vol.12)掲載

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2013年12月02日

  • 土屋 貴裕

サマリー

米国は輸出を増やすために、米国企業の活動の舞台を海外企業と公平さを保つことを目指す通商政策の一つとしてFTAを選択してきた。米国のFTAの多くは、ブッシュ(子)政権の時期に交渉、締結されてきた。


オバマ政権は、金融危機以降に輸出倍増戦略を発し、ブッシュ(子)政権時に締結されたFTAを批准し、TPP交渉や対欧州FTAなどの交渉に入る。だが、徐々に通商ルールの策定などを重視するようになっていく。その背景には、国内製造業の復活を目指す動きがある。国内製造業の復活を求めることは、生産性を高め、量的、質的に低下してきた製造業の雇用の拡大と、賃金上昇による国民生活の水準向上という国内からの要請も含まれているとみられる。


米国のFTA戦略は、先進的製造業の技術革新、対米投資、高度人材育成計画などと組み合わせることで、輸出や雇用の量的拡大のみならず、製造業の復活とサービスセクターへの波及を通じて雇用の質的拡大を図っている。さらなる米国内での投資を促し、中長期的な経済成長を促し、競争力の強化を担う成長戦略の一端を担っていると考えられる。


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