失業率の低下を前向きに評価

2013年7月の米雇用統計:ただし質的改善は緒に就いたばかり

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2013年08月05日

  • 笠原 滝平

サマリー

◆2013年7月の非農業雇用者数は6月から増加幅が縮小し、前月差16.2万人増となった。6ヵ月平均で見れば、前月差20万人増程度となっている。雇用環境は緩やかに改善しているとの見方に変更はない。


◆業種分類別に見ると、政府部門は地方政府の雇用拡大などにより増加に転じ、民間・サービス部門は引き続き全体を押し上げた。一方で、民間・生産部門では、自動車関連が全体を牽引したものの、製造業全体では雇用吸収力が依然として弱いことが浮き彫りになった。


◆失業率は7.4%と6月から0.2%ポイント低下した。就職を諦めた者の増加も押し下げに働いたが、同様に就業者数の増加も押し下げに寄与しており、前向きに評価できるだろう。会社都合の失業者の減少や、失業期間の短縮など、質的改善の兆しが見られる。


◆ただし、労働参加率は依然として低水準で、失業率低下のわりには賃金が上昇していない。質的改善は緒に就いたばかりで、労働市場の需給は十分引き締まっているとは言えないだろう。今後の金融政策を占ううえでも、労働市場の量的・質的改善がどの程度進むかに注目したい。

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