米国経済見通し 選挙を前に明るい材料

財政問題に変わらぬ懸念も、いよいよ選挙

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2012年10月19日

  • 土屋 貴裕
  • 笠原 滝平

サマリー

◆企業部門では、製造業を中心に実際の企業活動がやや鈍化している。当面は設備投資を含めて企業活動の軟化が予想されよう。もっとも、個人消費の底堅さがうかがわれ、悪化していた企業マインドはすでに底打ちの気配がある。

◆消費を支える雇用環境が改善し、単月の動きか見極め難いものの、改善が続く住宅市場と合わせて明るい話題である。住宅価格の上昇などが家計のバランスシート調整を進め、消費をサポートし、さらなる住宅市場の改善につながる可能性も期待できよう。

◆FedがQE3(量的緩和策第3弾)を導入し、MBS(住宅ローン担保証券)の買い入れを進めることは住宅市場の改善をさらに進める可能性を含む。金融緩和の前提となる物価の安定は、期待インフレ率が落ち着いていることから、当面は問題ないとみられる。

◆いわゆる「財政の崖」や債務上限問題といった財政問題は、政治が解決すべき問題だが、いよいよ選挙が近づいてきた。今のところ、民主、共和両党のどちらかが圧勝するとの見方は少ない。「ねじれ」状態の可能性が高い以上、議会審議で妥協点が見出せるか、懸念される。

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