サマリー
近年、公的統計は速報性などの課題に加えて、プライバシー保護や統計回答者の報告負担の重さなど調査の実施自体が世界的に困難となっており、こうした課題解決に民間で活用が進むビッグデータの貢献が期待されている。
公的統計へのビッグデータの貢献は「速報性」「報告者負担の軽減」といった既存統計の補完機能のほかに、大量のデータを用いることによる「詳細性」「網羅性」での改善も期待できる。一方、ビッグデータが抱える「プライバシー」や「継続性」「代表性」「安定性」など解決すべき課題も多い。
海外公的機関では、ビッグデータを扱える専門人材の育成や外部機関とのノウハウのシェア、データの共有・管理に向けた政策的支援や法的枠組みの構築に力を入れている。実際の活用では、カード決済データやウェブスクレイピングによる物価・消費・雇用統計への活用、税務統計などの行政データ、交通データ・位置情報データの活用が見られる。日本も経済産業省などで活用事例はあるが、現状は世界でも公的統計での活用事例は少ない。
ビッグデータ活用のガイドライン策定や統計の民営化の検討に加えて、幅広い分野で経済分析・予測へ応用するなどの経済情報の重層化が望まれる。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2025年8月号(No.465)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年07月23日
-
回復感なき経済成長は続くのか
2025年07月23日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日