サマリー
◆2017年10-12月期GDP一次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2017年度が前年度比+1.7%(前回:同+1.8%)、2018年度が同+1.3%(同:同+1.1%)、2019年度が同+0.8%(同:同+0.6%)である。日本経済は、①堅調な外需、②在庫投資、③耐久財の買い替え需要に支えられて、成長の加速を続けてきた。しかし、これら三つの要因が剥落することに加え、2019年10月に予定されている消費増税に伴う負の所得効果が見込まれる中、先行きの日本経済は2019年度にかけて減速を続ける見通しである。
◆本稿では、上述した日本経済予測を左右させうる、世界経済が抱える五つのリスク要因について詳細に分析した。まず①米国発の「世界株安・世界生産減」のリスクに関しては、米国株はやや割高な可能性はあるものの、直ちに世界的な生産減少にまでは至らない公算が大きい。次に②米欧の出口戦略によって世界経済は、2018年に▲0.07%、2019年に▲0.26%下押しされる。さらに、③円高については、米国が「ドル高政策」から「ドル安政策」へと転換するリスクに要注意であり、10円の円高によって日本企業の経常収益は、▲1.9兆円程度押し下げられる計算となる。そして、④原油価格の上昇については、2017年12月時点で57.9ドル/bblだった原油価格が10ドル/bbl上昇することで2018~2020年の実質GDPの水準は▲0.12%程度押し下げられる。最後に⑤中国では、引き続き過剰債務問題が懸念され、金利上昇に対して脆弱な状態にある。
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