サマリー
◆Brexitで日本経済に何が起きるのか?:6月23日、英国でEUからの離脱の是非を問う国民投票が行われ、即日開票された。国民投票により、英国民はEUからの離脱、いわゆる“Brexit”を選択した。当社の短期マクロモデルを用いて、Brexitが日本経済に与える影響を試算すると、リーマン・ショック級の株安・円高・世界経済の縮小を想定した場合、ベンチマークと比較して日本の実質GDPを1.11%下押しするとの結果が得られた(→詳細は、岡本佳佑「緊急レポート:Brexitで日本経済に何が起きるのか?」(2016年6月24日)参照)。
◆マイナス金利導入による経済の好循環を阻害する要因は?:日銀が1月にマイナス金利の導入を決定したものの、政策効果として期待された、日本経済の好循環シナリオは未だ起動していない。その理由としては、①グローバルな金融市場の混乱、②企業の設備投資の弱さ、③家計の消費マインドの悪化、という3つの障害が発生していることが挙げられる。しかし、上記①に関しては、日本政府および日銀だけでグローバルな金融市場の混乱を沈静化させることは至難の業である。他方、②・③は政策対応次第で改善することが可能だ。成長戦略を着実に実施し、日本の期待成長率を引き上げることができれば、企業の設備投資マインドの改善が期待できる。また、持続可能な社会保障制度を構築するなど家計の将来不安を取り除くことにより、個人消費を活性化させることもできよう(→詳細は、熊谷亮丸他「第189回 日本経済予測(改訂版)」(2016年6月8日)参照)。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日