日本経済見通し:マイナス金利導入による経済の好循環を阻害する要因は?

日本経済には成長戦略の着実な実施、社会保障制度の再構築が重要

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2016年07月21日

  • 調査本部 副理事長 兼 専務取締役 調査本部長 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸
  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 岡本 佳佑
  • 小林 俊介
  • 齋藤 勉
  • 前田 和馬
  • 永井 寛之
  • デジタルソリューション研究開発部 田中 誠人

サマリー

Brexitで日本経済に何が起きるのか?:6月23日、英国でEUからの離脱の是非を問う国民投票が行われ、即日開票された。国民投票により、英国民はEUからの離脱、いわゆる“Brexit”を選択した。当社の短期マクロモデルを用いて、Brexitが日本経済に与える影響を試算すると、リーマン・ショック級の株安・円高・世界経済の縮小を想定した場合、ベンチマークと比較して日本の実質GDPを1.11%下押しするとの結果が得られた(→詳細は、岡本佳佑「緊急レポート:Brexitで日本経済に何が起きるのか?」(2016年6月24日)参照)。


マイナス金利導入による経済の好循環を阻害する要因は?:日銀が1月にマイナス金利の導入を決定したものの、政策効果として期待された、日本経済の好循環シナリオは未だ起動していない。その理由としては、①グローバルな金融市場の混乱、②企業の設備投資の弱さ、③家計の消費マインドの悪化、という3つの障害が発生していることが挙げられる。しかし、上記①に関しては、日本政府および日銀だけでグローバルな金融市場の混乱を沈静化させることは至難の業である。他方、②・③は政策対応次第で改善することが可能だ。成長戦略を着実に実施し、日本の期待成長率を引き上げることができれば、企業の設備投資マインドの改善が期待できる。また、持続可能な社会保障制度を構築するなど家計の将来不安を取り除くことにより、個人消費を活性化させることもできよう(→詳細は、熊谷亮丸他「第189回 日本経済予測(改訂版)」(2016年6月8日)参照)。

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