サマリー
◆海外発で景気下振れリスクが強まる:2015年10-12月期GDP二次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2015年度が前年度比+0.7%(前回:同+0.7%)、2016年度が同+0.9%(同:同+0.9%)、2017年度が同▲0.1%(同:同▲0.1%)である。足下で日本経済は踊り場局面が継続しているものの、先行きに関しては、①在庫調整の進展、②原油安、③実質賃金の増加、④補正予算の編成、などの国内要因が下支え役となり、緩やかに回復する見通しである。ただし、中国を中心とする海外経済の下振れリスクには細心の注意が必要となろう(→詳細は、熊谷亮丸他「第188回 日本経済予測(改訂版)」(2016年3月8日)参照)。
◆伊勢志摩サミットに向けた国際政策協調がカギ:世界経済の長期的なサイクルを踏まえつつ現状を俯瞰すると、「先進国の民間需要の回復が未だ極めて緩慢であるにもかかわらず、財政緊縮・金融引き締めがスタートしてしまっている」ことこそが、世界的な景気停滞感の根幹にある。今後の世界経済・金融市場下げ止まりに向けたカギは、伊勢志摩サミットを睨んだ、先進国と中国などによる政策協調である。新興国や資源国の経済が減速する中で、世界経済の成長は、新興国頼みから脱却して、先進国が牽引役にならざるを得ない。中国が資本規制導入などにより人民元切り下げを回避すると同時に、先進国は金融政策の発動余地が限定的な一方で、積極財政策を打ち出す余地があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
-
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日