日本経済見通し:伊勢志摩サミットに向けた国際政策協調がカギ

海外発で日本経済の下振れリスクが強まる

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2016年03月22日

  • 調査本部 副理事長 兼 専務取締役 調査本部長 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸
  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 岡本 佳佑
  • 小林 俊介
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 久後 翔太郎
  • 永井 寛之

サマリー

海外発で景気下振れリスクが強まる:2015年10-12月期GDP二次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2015年度が前年度比+0.7%(前回:同+0.7%)、2016年度が同+0.9%(同:同+0.9%)、2017年度が同▲0.1%(同:同▲0.1%)である。足下で日本経済は踊り場局面が継続しているものの、先行きに関しては、①在庫調整の進展、②原油安、③実質賃金の増加、④補正予算の編成、などの国内要因が下支え役となり、緩やかに回復する見通しである。ただし、中国を中心とする海外経済の下振れリスクには細心の注意が必要となろう(→詳細は、熊谷亮丸他「第188回 日本経済予測(改訂版)」(2016年3月8日)参照)。


伊勢志摩サミットに向けた国際政策協調がカギ:世界経済の長期的なサイクルを踏まえつつ現状を俯瞰すると、「先進国の民間需要の回復が未だ極めて緩慢であるにもかかわらず、財政緊縮・金融引き締めがスタートしてしまっている」ことこそが、世界的な景気停滞感の根幹にある。今後の世界経済・金融市場下げ止まりに向けたカギは、伊勢志摩サミットを睨んだ、先進国と中国などによる政策協調である。新興国や資源国の経済が減速する中で、世界経済の成長は、新興国頼みから脱却して、先進国が牽引役にならざるを得ない。中国が資本規制導入などにより人民元切り下げを回避すると同時に、先進国は金融政策の発動余地が限定的な一方で、積極財政策を打ち出す余地があるだろう。

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