サマリー
◆Is This Time Different?:日経平均株価が2015年4月22日に終値で2万円の大台を回復した。マクロ経済の視点から、今回の株価上昇局面をどう評価すればよいのだろうか?日本の住宅・不動産市場に「バブル」的な過熱感は観察されず、長期停滞の大きな要因となっていた「3つの過剰」もおおむね解消されたと判断できる。すなわち、現在の日本経済は、過去の負の遺産を克服して「失われた20年」から脱却するための絶好の機会を迎えているのである。他方、株価のさらなる上昇を展望する意味で、①デフレ脱却、②成長戦略の断行、という日本経済が長年抱えてきた「宿題」の重要性を指摘しておきたい。
◆日本経済のメインシナリオ:2015年1-3月期GDP二次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2015年度が前年度比+2.0%(前回:同+1.7%)、2016年度が同+1.9%(同:同+1.8%)である。今後の日本経済は、①アベノミクスによる好循環が継続すること、②米国向けを中心に輸出が徐々に持ち直すことなどから、緩やかな回復軌道をたどる見通しである。
◆4つのリスク要因:日本経済のリスク要因としては、①財政規律喪失への懸念を背景とする将来的な「トリプル安(債券安・円安・株安)」の進行、②中国の「バブル」崩壊に対する懸念、③米国の出口戦略に伴う新興国市場の動揺、④地政学的リスクを背景とする世界的な株安、の4点に留意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2025年7月号(No.464)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年06月25日
-
立ち止まる金融政策、ただし一服ムードはない
2025年06月25日
-
日本経済見通し:2025年6月
トランプ関税による足元の影響は?/参院選の争点である家計支援策
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日