サマリー
◆経済見通しを改訂:2012年4-6月期GDP一次速報を受け、2012-13年度の成長率見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2012年度が前年度比+2.2%(前回:同+2.4%)、2013年度が同+1.4%(同:同+1.3%)である(→詳細は、熊谷亮丸他「第174回日本経済予測」(2012年8月16日)参照)。
◆日本経済のメインシナリオ、及び、リスク要因:今後の日本経済は、様々な景気下振れリスクを抱えつつも、メインシナリオとして、(1)震災発生に伴う「復興需要」、(2)米国・中国経済の持ち直し、(3)日銀の追加金融緩和、という「三本の矢」に支えられて、緩やかな景気拡大が続く公算である。日本経済が抱えるリスク要因としては、(1)「欧州ソブリン危機」が深刻化、(2)地政学的リスクなどを背景とする原油価格の高騰、(3)円高の進行、(4)将来的な経常収支赤字化、の4点に留意が必要である。
◆デフレの原因と政府・日銀に求められる政策対応:今回のレポートでは、わが国でデフレが継続している原因を検証した上で、政府・日銀に求められる政策対応について考察した。日本銀行の楽観的な物価見通しに反して、わが国では当面デフレ傾向が継続する見通しである。当社がコアCPIの要因分解を行ったところ、GDPギャップの縮小とインフレ予想の改善が物価押し上げ要因となる一方で、雇用者報酬の低迷と企業物価の伸びが鈍化傾向にあることが物価抑制要因となっている。今後は売上高の増加や、非製造業の低労働生産性(資本装備率が低いことなどに起因)の向上などを通じて、雇用者報酬を引き上げる政策が必要となる。具体的には、政策当局は、日本経済再生に向けて、(1)トップリーダーの確固たる「ビジョン(国家観・哲学)」に基づいた体系性のある政策を実行、(2)「内需」や「需要サイド」のみに固執するのではなく、「外需」や「供給サイド」も重視したバランスのとれた経済政策を実施、(3)消費税引き上げ、社会保障費を中心とする歳出削減などを通じて「財政再建」を実現、(4)政府・日銀がより一層緊密に連携、という4点を柱に据えた経済政策を断行すべきである。特に、上記(4)に関連して、当社は、グレンジャー因果性を用いた分析などによれば、日銀の更なる金融緩和を通じた円安・株高の進行などがデフレ脱却に有効であると考えている。
◆日本経済のメインシナリオ、及び、リスク要因:今後の日本経済は、様々な景気下振れリスクを抱えつつも、メインシナリオとして、(1)震災発生に伴う「復興需要」、(2)米国・中国経済の持ち直し、(3)日銀の追加金融緩和、という「三本の矢」に支えられて、緩やかな景気拡大が続く公算である。日本経済が抱えるリスク要因としては、(1)「欧州ソブリン危機」が深刻化、(2)地政学的リスクなどを背景とする原油価格の高騰、(3)円高の進行、(4)将来的な経常収支赤字化、の4点に留意が必要である。
◆デフレの原因と政府・日銀に求められる政策対応:今回のレポートでは、わが国でデフレが継続している原因を検証した上で、政府・日銀に求められる政策対応について考察した。日本銀行の楽観的な物価見通しに反して、わが国では当面デフレ傾向が継続する見通しである。当社がコアCPIの要因分解を行ったところ、GDPギャップの縮小とインフレ予想の改善が物価押し上げ要因となる一方で、雇用者報酬の低迷と企業物価の伸びが鈍化傾向にあることが物価抑制要因となっている。今後は売上高の増加や、非製造業の低労働生産性(資本装備率が低いことなどに起因)の向上などを通じて、雇用者報酬を引き上げる政策が必要となる。具体的には、政策当局は、日本経済再生に向けて、(1)トップリーダーの確固たる「ビジョン(国家観・哲学)」に基づいた体系性のある政策を実行、(2)「内需」や「需要サイド」のみに固執するのではなく、「外需」や「供給サイド」も重視したバランスのとれた経済政策を実施、(3)消費税引き上げ、社会保障費を中心とする歳出削減などを通じて「財政再建」を実現、(4)政府・日銀がより一層緊密に連携、という4点を柱に据えた経済政策を断行すべきである。特に、上記(4)に関連して、当社は、グレンジャー因果性を用いた分析などによれば、日銀の更なる金融緩和を通じた円安・株高の進行などがデフレ脱却に有効であると考えている。
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