日本経済見通し:日本経済が抱える3つのリスク要因を検証する

(1)原発停止に伴う生産の低迷、(2)海外経済の下振れ、(3)円高の進行、に要注意

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2011年09月20日

  • 調査本部 副理事長 兼 専務取締役 調査本部長 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸

サマリー

経済見通しを改訂:2011年4-6月期GDP二次速報を受け、2011-12年度の成長率見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2011年度が前年度比+0.1%(前回予想:同±0.0%)、2012年度が同+2.6%(同:同+2.6%)である。

日本経済のメインシナリオ:今後の日本経済は、メインシナリオとして、2011年度下期以降、復興需要に支えられて回復軌道を辿る展開が予想される。現時点で、当社は、東日本大震災による、2011年度の実質GDP成長率に対する押し下げ幅は▲1.4%ポイント程度と試算している。

日本経済の3つのリスク要因:今回のレポートでは、日本経済が抱える3つのリスク要因について検証した。日本経済のリスク要因としては、(1)原発停止に伴う生産の低迷、(2)世界的な金融市場の混乱を受けた海外経済の下振れ、(3)円高の進行、の3つに留意が必要である。仮に、わが国で全ての原発が停止した場合、実質GDPに対しては1%以上の低下圧力がかかる可能性がある。他方で、現状の米国では、世界大恐慌期やわが国の平成不況期とは異なり、(1)政策対応が迅速、(2)労働市場が柔軟、(3)金融システム不安が後退、などの理由から、財政・金融面の「出口戦略」を急ぐことがなければ、「デフレスパイラル」を伴うような「長期構造不況」は回避される公算が大きい。為替相場に関しては、米国の通貨当局が、本格的な「ドル防衛策」に乗り出すか否かが焦点となろう。

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