サマリー
◆2011年度の経済見通しを上方修正する一方で、2012年度は下方修正:2011年4-6月期GDP一次速報を受け、2011-12年度の成長率見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2011年度が前年度比±0.0%(前回予想:同▲0.3%)、2012年度が同+2.6%(同:同+3.4%)である。2011年度の見通しは、サプライチェーンの想定以上の回復などを勘案し上方修正したが、2012年度に関しては、海外経済の下振れや円高の進行などを考慮し下方修正した(→詳細は、熊谷亮丸他「第170回日本経済予測(2011年8月18日付)」参照)。
◆グローバルな金融市場の混乱をどう捉えるか?:今回のレポートでは、グローバルな「金融危機」の歴史を検証することなどを通じて、足下のグローバルな金融市場の混乱について考察した。過去100年間程度の「金融危機」の歴史を検証すると「(1)金融危機→(2)財政危機→(3)インフレ圧力昂進」というパターンが抽出できる。最近のグローバルなリスク要因は、全て上記の枠組みの中で位置付けることが可能である。現状は、先進国ではデフレ懸念、新興国では先進国における過度な金融緩和の副作用などからインフレ懸念が燻るというきわめて不安定な構図になっている。今後の世界経済は、「金融危機」の第二ステップである、現状の「(2)財政危機」の段階から、米連銀による量的緩和政策第3弾(所謂“QE3”)の導入などを経て、「(3)インフレ圧力昂進」が懸念される状況へと向かうものと予想される。
◆日本経済の展望:今後の日本経済は、メインシナリオとして、2011年度下期以降、復興需要に支えられて回復軌道を辿る展開が予想される。リスク要因としては、(1)原発停止に伴う生産の低迷、(2)世界的な金融市場の混乱を受けた海外経済の下振れ、(3)円高の進行、などに留意が必要となろう。
◆グローバルな金融市場の混乱をどう捉えるか?:今回のレポートでは、グローバルな「金融危機」の歴史を検証することなどを通じて、足下のグローバルな金融市場の混乱について考察した。過去100年間程度の「金融危機」の歴史を検証すると「(1)金融危機→(2)財政危機→(3)インフレ圧力昂進」というパターンが抽出できる。最近のグローバルなリスク要因は、全て上記の枠組みの中で位置付けることが可能である。現状は、先進国ではデフレ懸念、新興国では先進国における過度な金融緩和の副作用などからインフレ懸念が燻るというきわめて不安定な構図になっている。今後の世界経済は、「金融危機」の第二ステップである、現状の「(2)財政危機」の段階から、米連銀による量的緩和政策第3弾(所謂“QE3”)の導入などを経て、「(3)インフレ圧力昂進」が懸念される状況へと向かうものと予想される。
◆日本経済の展望:今後の日本経済は、メインシナリオとして、2011年度下期以降、復興需要に支えられて回復軌道を辿る展開が予想される。リスク要因としては、(1)原発停止に伴う生産の低迷、(2)世界的な金融市場の混乱を受けた海外経済の下振れ、(3)円高の進行、などに留意が必要となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日