政策金利の引き上げや人手不足の深刻化が「追い貸し・金利減免」企業に与える影響

「健全企業」以上に負担が増すも、経済全体で見れば負の影響は限定的

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2025年03月31日

サマリー

◆成長力強化などの観点から企業の新陳代謝の重要性が指摘される中、関連するトピックの1つとして「追い貸し・金利減免」企業の存在が挙げられる。こうした企業は一般に、通常の経済状況下では経営破綻していた可能性もあるとみられるが、金融機関や政府の支援を受けて存続している企業として定義される。足元では、コロナ禍からの経済活動の正常化などを背景に、「追い貸し・金利減免」企業の比率は低下が続いている。

◆先行きの企業負担を増加させる要因の1つに、日本銀行による政策金利の引き上げがある。東京証券取引所に上場したことのある企業のうち、「追い貸し・金利減免」企業と判定された企業では、政策金利が0.25%pt引き上げられた場合、利払い負担の増加により経常利益が1.6%程度下押しされると試算された。それ以外の企業(「健全企業」、同0.8%程度)や、非上場企業を含む資本金10億円以上の大企業(同1.3%程度)よりも悪影響が大きい。財務の健全性が低く、経営効率が悪いことが背景にある。

◆金利上昇に加えて人手不足の深刻化が「追い貸し・金利減免」企業の負担増に追い打ちをかける可能性がある。だが、こうした負の影響は経済全体で見れば限定的だろう。労働需給がひっ迫する中では、生産性の高い企業の雇用が拡大しているとみられる。生産性の高い企業へと労働が移動すれば、結果として経済全体の生産性が高まることになる。

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