企業のデータ整備の鍵は「相互運用性」

データ利活用のための企業体制の変革でDXの実現にも期待

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2025年01月29日

サマリー

◆前回のレポートにて、企業におけるデータ利活用を成功させるためには、「目的」や「データ」を明確化することが重要であると議論した。次に課題となるのは、「目的」に基づき収集した「データ」を、企業全体で効果的に利活用するための適切なデータ整備方法の検討と実施である。

◆政府におけるデータ整備として、国民の利便性向上や行政運営の効率化を目的に、官公庁ごとに管理していた行政データの相互利用を行う、ベース・レジストリの取り組みがある。この取り組みは2023年に一度見直しが行われており、その際にデータの品質確保とデータの公開範囲が課題として指摘されている。

◆これらは企業がデータ整備を行う際にも十分に発生しうる課題である。この課題に対する政府の対応を見ると、企業全体でデータを効果的に利活用するためには、データ整備のための社内標準の策定、データ品質を確保し常時提供を可能とする環境および運用体制の構築、適切な公開範囲の特定および制御等、全社的な対応が必要となる。そして、ある程度トップダウンで進める必要があること、データ利活用のために企業内の体制やビジネスモデルの変革が伴うことから、DXの実現も期待される。

◆また、データ整備を行うにあたり相互運用性(異なるシステムや組織がデータや情報を円滑に交換し利用できる能力)の確保が重要となる。今後ビジネスにおけるデータ利活用が進むことで、社内外のデータを提供または取得する機会が増加すると考えられる。データの整備手法が一般的な方法と乖離している場合、ビジネスにおいて不利になる可能性がある。この相互運用性を実現する国際的な標準は、技術の変化等に応じて変化していくことも予想される。政府の取り組み等を参考に適宜情報を収集し対応していくことが求められるだろう。

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