中国の景気減速が影を落とす日本のインバウンド消費

北米等からの訪日客増加が見込まれるも中国人の旅行控えが重しに

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2024年11月18日

サマリー

◆コロナ禍が収束して以降、様々な国・地域からの訪日外客が増加する中、特に北米や豪州からの旅行客の増加が顕著だ。他方、訪日中国人旅行客の回復は後れており、2024年1~9月で2019年同期の水準を3割程度下回る。これは中国人旅行客から日本が選ばれなくなったというわけではなく、中国の景気減速を背景に中国人が海外旅行を抑制していることによる影響が大きい。また、コロナ禍前と比較して円安が進行し、各国の円ベースの購買力が高まる中、訪日外客の1人あたり実質旅行支出は2割強増加している。とりわけ宿泊、飲食、交通、娯楽といったサービス消費の増加が目立つ。

◆先行きのインバウンド消費は、振れを伴いながらも緩やかに増加していくとみている。2023年に2,507万人だった訪日外客数は2024年に3,640万人、2025年に3,940万人へと増加し、実質インバウンド消費は2023年の4.5兆円から2024年に6.6兆円、2025年に7.0兆円へと増加する見込みだ。韓国、台湾、香港、フィリピンからの旅行客数は今後の為替動向によって大きく左右されよう。また、中国人旅行客については、中国の景気減速の継続が見込まれる中、先行きは緩やかな回復に留まるとみている。他方、北米や豪州からの旅行客は為替の影響を受けにくいことに加え、1人あたり旅行支出が大きいことから、先行きのインバウンド消費を下支えするだろう。

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