日本はデータ戦略で主導権が取れるのか?

技術等でデータ流通における信用・信頼を確保できればチャンスあり

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2024年10月29日

サマリー

◆日本のデータ戦略は、Society 5.0の実現を目指し、サイバー空間とフィジカル空間を融合させた人間中心の社会を構築することを目的としている。2019年に、日本はDFFT(Data Free Flow with Trust)という信頼性のある自由なデータ流通のコンセプトを提唱した。さらに2023年のG7ではDFFTを推進する国際的な枠組みであるIAP(the Institutional Arrangement for Partnership)の設立が承認された。これにより、日本は国際的なデータ戦略での影響力を強めている。

◆IAPの設立承認により、日本は国際的なデータ流通で不利益を被らないよう、国際調和を図りつつ日本企業のニーズを国際ルールに反映することが求められる。これには国内のデータ流通と利活用の戦略が必須であるが、デジタル基盤の整備は緒に就いたばかりだ。日本は「域外に対してオープン」かつ「共存共栄型」のエコシステムを目指しているが、諸外国との差は大きい。

◆日本の目指すデータ利活用環境は、データ流通の信用・信頼において高い技術が求められる点でチャンスがある。これはDFFTの「T:Trust」としても重要視され、国内での検討成果を国際会議で示すことでDFFTの議論に貢献しつつ、基盤構築で諸外国に追いつく必要がある。国内企業や技術者を巻き込むことも重要だ。日本がデータ戦略の国際的議論でリーダーシップを維持するためには、国内のデジタル基盤とデータ利活用環境を早急に構築し、国内外のデータ戦略をバランスよく推進することが重要である。

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