海外に後れを取る国内AI開発の行方

経済安全保障・国内技術力向上のため、政策による開発支援等が重要

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2024年06月14日

サマリー

◆日本のデジタル赤字が拡大している。このままでは、今後の産業基盤となるデジタル技術の多くを海外に依存せざるを得なくなり、海外への所得流出が加速しかねない。

◆政府や経済界は、日本国内でAI開発を行うための環境整備と日本の強みを活かしたAI開発力の強化を重要視している。例えば、政府は、デフレ完全脱却のための総合経済対策(以下、総合経済政策)の中で、「AI用計算資源の国内整備」「大規模言語モデル(LLM)の開発力強化に向けた学習用言語データの整備及びアクセス提供」「生成AIに関する調査・分析を行うセンターの立ち上げ」等を挙げ、AI開発やそれを支える計算資源等の整備に関する取り組みを始めている。

◆国内でAI開発やそれを支える計算資源等の整備が求められる背景には、経済安全保障の観点と国内技術力の向上がある。国内の重要情報や日本が競争力を有する産業を含めた様々な領域の情報処理を海外に一層依存するのは危険性が高い。このため、経済安全保障を維持するために、国内のクラウドの安定的な供給が強く求められている。また、AIを国内の様々な領域でイノベーションを起こす可能性を秘めたツールと位置づけ、日本語に特化した大規模言語モデルの開発をはじめとしたAI開発においても国内で高い技術力を保有することが求められている。

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