サマリー
◆日本のデジタル赤字が拡大している。このままでは、今後の産業基盤となるデジタル技術の多くを海外に依存せざるを得なくなり、海外への所得流出が加速しかねない。
◆政府や経済界は、日本国内でAI開発を行うための環境整備と日本の強みを活かしたAI開発力の強化を重要視している。例えば、政府は、デフレ完全脱却のための総合経済対策(以下、総合経済政策)の中で、「AI用計算資源の国内整備」「大規模言語モデル(LLM)の開発力強化に向けた学習用言語データの整備及びアクセス提供」「生成AIに関する調査・分析を行うセンターの立ち上げ」等を挙げ、AI開発やそれを支える計算資源等の整備に関する取り組みを始めている。
◆国内でAI開発やそれを支える計算資源等の整備が求められる背景には、経済安全保障の観点と国内技術力の向上がある。国内の重要情報や日本が競争力を有する産業を含めた様々な領域の情報処理を海外に一層依存するのは危険性が高い。このため、経済安全保障を維持するために、国内のクラウドの安定的な供給が強く求められている。また、AIを国内の様々な領域でイノベーションを起こす可能性を秘めたツールと位置づけ、日本語に特化した大規模言語モデルの開発をはじめとしたAI開発においても国内で高い技術力を保有することが求められている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日