サマリー
◆人手不足が深刻化する中、省人化投資が重要度を増している。しかし、日本政策投資銀行が2023年8月3日に公表した「全国設備投資計画調査」によると、企業の設備投資額に占める省人化投資の割合は足元でそれほど高まっていない。
◆特に人手不足が深刻な非製造業では、建設やサービスといった業種で労働から資本への代替が進んでいない。労働集約的な産業では人手不足解消の効果が見込みづらいことや、中小企業ではデジタル人材が不足していることなどが背景にあると考えられる。
◆省人化投資を促進するためには、ロボットやITなどを活用できる専門人材の確保も重要だ。デジタル化支援ポータルなどを通じて、中小企業と専門人材との連携を一段と促進する必要がある。また、ペーパーレス化などの業務効率化を推進できる従業員をリスキリングによって企業が育成することも考えられる。ただし、そもそも企業自身が必要な人材や教育・訓練内容を明確化できていなければ、適切なリスキリングも難しい。省人化投資のみならず、人材育成までをパッケージ化するなど、政府は省人化投資促進とリスキリング支援を一体的に進めることも有効ではないだろうか。
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