サマリー
◆コロナ禍において世界の債務残高は急増しており、中でも政府部門での増加が先行している。ただし、極めて緩和的な金融政策によって、米国では政府債務の利払い負担は低水準を維持しており、米10年国債利回りで2.5%程度までの上昇にとどまれば、当面の負担は重くならないとみられる。政府債務の持続性を担保する上では、今後の金利動向が重要なポイントとなろう。
◆民間債務については、リーマン・ショック後に進んだ財務の健全化に加え、大規模な政策面での下支え策が相次いで実施されていることから、当面のリスクは限定的といえる。ただし、中国やフランス、カナダなどの一部の国では警戒すべき水準にあることから、今後世界経済が正常化に向かう過程での政策の変化に注意が必要となろう。
◆テールリスクとしては、FRBの金融緩和縮小が市場に動揺を与えた場合の、新興国からの資金流出が挙げられる。新興国の多くは過去の経験から資金流出への耐性を高めているが、現在も危機に対して脆弱なアルゼンチン、トルコ、カザフスタンなどには警戒が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
高市政権における実質賃金上昇の鍵は?
政策・改革の推進で40年度までの実質賃金は年率1.2~1.6%程度に
2025年12月01日
最新のレポート・コラム
-
他市場にも波及する?スタンダード市場改革
少数株主保護や上場の責務が問われると広範に影響する可能性も
2025年12月03日
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
「年収の壁」とされる課税最低限の引上げはどのように行うべきか
基礎控除の引上げよりも、給付付き税額控除が適切な方法
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
ビットコイン現物ETFとビットコイントレジャリー企業株式
2025年12月05日

