過剰債務はコロナ後の世界の課題に

当面のリスクは限定的だが、低金利環境の変化には注意が必要

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2021年02月24日

  • 経済調査部 シニアエコノミスト 佐藤 光
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 永井 寛之

サマリー

◆コロナ禍において世界の債務残高は急増しており、中でも政府部門での増加が先行している。ただし、極めて緩和的な金融政策によって、米国では政府債務の利払い負担は低水準を維持しており、米10年国債利回りで2.5%程度までの上昇にとどまれば、当面の負担は重くならないとみられる。政府債務の持続性を担保する上では、今後の金利動向が重要なポイントとなろう。

◆民間債務については、リーマン・ショック後に進んだ財務の健全化に加え、大規模な政策面での下支え策が相次いで実施されていることから、当面のリスクは限定的といえる。ただし、中国やフランス、カナダなどの一部の国では警戒すべき水準にあることから、今後世界経済が正常化に向かう過程での政策の変化に注意が必要となろう。

◆テールリスクとしては、FRBの金融緩和縮小が市場に動揺を与えた場合の、新興国からの資金流出が挙げられる。新興国の多くは過去の経験から資金流出への耐性を高めているが、現在も危機に対して脆弱なアルゼンチン、トルコ、カザフスタンなどには警戒が必要である。

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