サマリー
◆2020年11月の完全失業率(季節調整値)は2.9%と、5ヶ月ぶりに低下した。内訳を見ると、就業者は前月差+43万人と大幅に増加し、失業者は同▲16万人と減少した。失業者を求職理由別に見ると、減少幅が大きかったのは自発的な離職(自己都合)による者で、前月の急増の反動が一部表れたとみられる。非自発的な離職者も、2019年平均に比べれば依然高い水準にあるが、11月は同▲8万人と減少した。
◆11月の有効求人倍率(季節調整値)は前月差+0.02ptと、2ヶ月連続で上昇して1.06倍となった。新規求人倍率(同)は前月から0.20pt上昇して2.02倍となった。新規求人数は前月比+9.2%と大幅に増加した。
◆足元では新型コロナウイルスの感染再拡大が進みつつあるものの、緊急事態宣言を要するような事態に陥らない限りは緩やかな景気回復が続き、労働需要も回復していくとみられる。先行きの雇用環境もこれを反映して改善傾向が続くとみている。ただしその改善ペースは相当程度に緩やかなものにとどまりそうだ。また、感染状況や企業の対応次第では、雇用環境が再度悪化に向かう可能性も低くない。今後も事態の変化に応じた企業支援策の実施が不可欠だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年8月貿易統計
トランプ関税や半導体需要減の影響継続で輸出金額は4カ月連続減少
2025年09月17日
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日