2020年6月全国消費者物価
エネルギー価格がコアCPIを押し上げるも、基調は横ばい
2020年07月21日
サマリー
◆2020年6月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.0%となった。ガソリンや電気代などのエネルギー価格や、通信料などのサービス価格において前年比のマイナス幅が縮小したことなどが全体を押し上げた。ただし、物価の基調を示す新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)の前年比は+0.4%と前月から横ばいだった。
◆品目別に見ると、「通信料(携帯電話)」が前年比でプラス転換した。前年同月にNTTドコモとKDDIが行った値下げの裏の影響によるものとみられる。また、耐久消費財では、「ルームエアコン」の前年比上昇率がプラス転換しており、キャッシュレス・ポイント還元事業の終了に伴う駆け込み需要や各種給付金の効果が表れた可能性がある。一方、「宿泊料」は前年比のマイナス幅が拡大した。
◆先行きの全国コアCPIの前年比はエネルギー価格上昇の影響もあり、消費増税の押し上げ効果が剥落するまでは0%前後で推移するとみている。緊急事態宣言の全面解除や政策効果もあって景気は5月頃に底打ちしたとみられるが、回復は緩やかであり、マクロの需給バランスの悪化による物価の下押しは続くとみられる。
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