サマリー
◆【5月の消費】需要側の家計調査では4月から小幅に減少した一方、供給側の商業動態統計では増加した。対照的な結果となったのは、需要側統計にのみサービス消費が含まれることが影響している。5月は、4月と比較すると、例年消費支出が増加するゴールデンウイークが緊急事態宣言と重なったことがマイナスに作用した一方、中旬以降に宣言が段階的に解除されたことはプラスに作用した。財の消費は衣類品などを中心に4月から増加したものの、サービス消費は4月から減少した。
◆【6月の消費(個社データ・業界統計・POSデータ)】財の消費は徐々にコロナショック前の水準に戻りつつある。スーパーなど巣ごもり消費が追い風となった業種では売上の増加が落ち着く一方、売上が大幅に落ち込んだ業種では回復が見られた。他方、人の移動にかかわるサービスの回復は鈍い。
◆【先行き】先行きの個人消費は、外出自粛の反動に加え、特別定額給付金も追い風となり、特に財消費が大きく改善するだろう。一方、サービス消費は、引き続き一定の感染拡大防止策が実施されているため、緩やかな回復に留まると考えられる。また、特別定額給付金などの政策効果が剥落した後は、所得環境の悪化が顕在化することが見込まれる。家計の節約志向が強い中、消費がコロナショック前の水準に戻るまでには相当な時間を要するだろう。
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