サマリー
◆6月短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は▲34%pt(前回差▲26%pt)、大企業非製造業の業況判断DI(最近)は▲17%pt(同▲25%pt)と、いずれもリーマン・ショック以来の水準へと悪化した。前回調査後、新型コロナウイルスの影響が深刻化して売上が落ち込み、業況判断を悪化させた。これに伴い、売上高・経常利益計画は大幅に下方修正された。
◆足元では国内外ともに経済活動が再開され、景気は緩やかな回復基調に転じていることから、業況判断DI(先行き)は、大企業製造業が▲27%pt(今回差+7%pt)、大企業非製造業が▲14%pt(同+3%pt)といずれも改善が見込まれている。ただし、引き続き一定の感染拡大防止策が実施されていることや、感染第2波への懸念が強いことから上昇幅は小幅に留まっている。さらに、中小企業では先行きも悪化が見込まれており、企業の慎重な見方がうかがえる。
◆2020年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比▲0.8%へと小幅に下方修正された。通常、6月日銀短観では、中小企業を中心に上方修正されるという統計上のクセがある。しかしながら、新型コロナウイルスの影響を踏まえて設備投資計画の見直しが広がったことで、リーマン・ショック後以来の下方修正となった。設備判断DIを見ると過剰感の強まりが確認されていることから、今後、コロナ禍の影響を見定めながら、下方修正される公算が大きい。
◆雇用人員判断DIも製造業・非製造業ともに大幅に悪化しており、大企業製造業では2014年6月以来の過剰超過となった。足元では雇用調整助成金の拡充などの政策効果もあり、失業率の大幅な上昇は起きていないものの、依然として休業者は多く存在する。今後、業績の回復が鈍い中で人員整理が行われ、失業者が増加することが懸念される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年5月消費統計
実質消費支出は上振れも、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年07月04日
-
消費データブック(2025/7/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年07月02日
-
2025年6月日銀短観
業況判断DI(最近)は底堅いが、先行きへの強い警戒が示された内容
2025年07月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日