サマリー
◆「罰則付き残業規制」が2019年4月に施行されて以来、半年が経過した。同政策では、月間100時間以上の残業、もしくは年間960時間以上の残業が罰則の対象となっている。本稿では、規制前後で日本企業の対応がどの程度進展しているのかを確認する。
◆年度データとしては最新となる2018年度の数値を確認すると、規制対象業種において年間960時間以上の残業を行った疑いのある就業者数は316万人であった。より最新のデータとなる2019年8月のデータを用いて確認すると、153万人が月間100時間以上の残業を行っている。この153万人、ないしは316万人の長時間労働を、大企業は2019年度内に、中小企業は2020年度内に解消する必要がある。
◆長時間労働の是正に伴い、削減される労働時間の経済的インパクトを試算すると、最大で年間約11.3億時間の労働時間が圧縮されることになる。これは約60万人(総就業者数の約0.9%)の労働時間に相当する規模だ。
◆現時点で規制対応は不十分ではあるものの、長時間労働是正の機運が高まった2015年度以降、日本企業は総労働投入時間を増加させながらも、3年間で51万人の超長時間労働を解消している。その主な対策は短時間労働者の増員とワークシェアリングであり、主な対象は学生、高齢者、女性であった。しかしこうした対応にもいずれ限界が訪れる。今後同様の対策を続ける上では、シニア層(再雇用)、非労化した人材(就職氷河期世代)、外国人労働者などの取り込みが必要となりそうだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
大局的視座から探る労働市場展望
フィリップスカーブの有効性は本当に崩れてしまったのか?
2018年07月20日
-
日本経済見通し:2018年3月
『春闘・賃上げで消費拡大』シナリオの総括的検証
2018年03月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年5月全国消費者物価
エネルギーのマイナス幅縮小も、食料等の非耐久財の伸び率は縮小
2026年06月19日
-
「食料品の消費税率1%+中低所得勤労者への所得連動給付」案が軸に
先行導入の所得連動給付は年間給与所得対比+0.4%程度の可能性
2026年06月19日
-
中東向け乗用車輸出の激減は日本経済のリスクとなるか
国内販売と他地域向け輸出が生産下支えも、代替ルート開拓が課題
2026年06月19日
最新のレポート・コラム
-
2026年5月全国消費者物価
エネルギーのマイナス幅縮小も、食料等の非耐久財の伸び率は縮小
2026年06月19日
-
「食料品の消費税率1%+中低所得勤労者への所得連動給付」案が軸に
先行導入の所得連動給付は年間給与所得対比+0.4%程度の可能性
2026年06月19日
-
中東向け乗用車輸出の激減は日本経済のリスクとなるか
国内販売と他地域向け輸出が生産下支えも、代替ルート開拓が課題
2026年06月19日
-
投資信託へのプライベートアセットの組入れ
制度設計上の論点と欧州・長期投資ファンド(ELTIF)からの示唆
2026年06月18日
-
AIガバナンスの深化とフィロソフィ経営
2026年06月19日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

