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大局的視座から探る労働市場展望

フィリップスカーブの有効性は本当に崩れてしまったのか?

2018年07月20日

経済調査部 シニアエコノミスト 小林 俊介

経済調査部 研究員 廣野 洋太

サマリー

◆日本の労働市場は新たな局面を迎えている。生産年齢人口の減少自体は1990年代中盤から始まっているが、空洞化進展により2010年頃までは人手不足は顕在化しなかった。しかし単位労働コストの相対的低下を受けて企業は安価な未活用労働力を求め始めた。その大宗を占めていたのは女性の短時間労働者であったが、過去数年間で女性の労働参加率は30-50代を中心に大幅改善しており、これ以上の「頭数」確保は難しい。結果として企業は①非正規社員の正規化による平均労働時間の延長と、②新たな未活用労働力(=若年層、高齢者、外国人)の確保に乗り出している。

◆人手不足が深刻化する一方で平均賃金が上昇しないことを以て、フィリップスカーブの有効性を疑問視する声もある。しかし賃金版フィリップスカーブを年代別に分解すると、現代日本でも未だにその有効性は健在だ。本質的な問題は、労働市場が若年層「のみ」でタイト化しており、中高年のスラックは未だ大きいということにある。言葉を変えると、企業が求める人材像(労働需要)と労働供給の間に「世代間のミスマッチ」が発生しており、局所的に賃金インフレとデフレが混在しているのが労働市場の現状である。

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