サマリー
◆2018年4-6月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年比+5.1%、経常利益は同+17.9%と増収増益となった。一方、季節調整値で見た経常利益も、前期比+16.9%と高い伸びを示し、最高益を更新した。製造業の経常利益が2四半期連続、サービス業など非製造業は3四半期連続で増益となり、揃って最高益となった。
◆2018年4-6月期の全産業(金融業、保険業除く)の設備投資(ソフトウェア除く)は前年比+14.0%と7四半期連続で増加し、2007年1-3月期以来の高い伸びとなった。季節調整値で見ても、前期比+6.9%となり、その規模は10年ぶりの高水準に達した。日銀短観や日本政策投資銀行が公表した2018年度の設備投資計画では、企業の積極的な姿勢が示されていたが、今回の結果はそれらを裏付けるものであるといえよう。
◆先行きの設備投資は、緩やかながらも増加基調を継続するとみている。高水準の企業収益と労働需給の引き締まりを背景として、人手不足に対応した省人化投資やIT投資が期待されよう。また、競争力を維持するために、設備の更新や研究開発投資も欠かせない。しかし、企業の期待成長が高まらない中では、設備投資の水準は、キャッシュフローを大きく下回り、減価償却費を一定程度上回るレベルに留まる傾向が続くだろう。さらに、資本ストック循環などを見ると、景気は成熟局面に位置しており、中期的には、設備投資の伸びは徐々に鈍化するとみられる。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2018年4-6月期GDP二次速報(9月10日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+2.9%(一次速報:同+1.9%)と、一次速報から大幅に上方修正されると予想する。
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