サマリー
政府は「2020 年3月までに行政手続コストの20%以上の削減」を決定した。背景には、事業者にとり「営業の許可・認可に係る手続」「社会保険に関する手続」「国税」「地方税」「補助金の手続」「調査・統計に対する協力」で負担感があることや、国際比較でもビジネス環境が見劣りすることがある。規制についても、日本ではネットワーク産業などの既存事業者への保護規制や貿易・投資に関する暗黙的な障壁が問題点として指摘されている。
今回の行政手続コスト削減がGDPに与える直接的な経済効果は1.3 兆円と試算され、削減対象の大幅な拡大、生産性の高い分野へ余剰労働の再配分が可能ならば、日EU・EPAに迫る経済効果も期待できる。こうした行政手続コスト削減は学術研究でも企業の設立や市場参入を促すことを指摘しており、間接(中長期)的な影響も含めると、その経済効果はさらに大きくなる。
生産性を高める規制・行政改革には、市場機能を最大限に発揮させる方向で行うことが重要だ。ただし、市場環境の変化に応じて新たな規制・行政手続を設ける場合、カナダや英国のように規制・行政手続が増えない仕組み(スクラップ・アンド・ビルドのルール化)の検討が今後の論点となるだろう。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年5月全国消費者物価
米価格の上昇が他の食料品や外食など関連品目の価格にも波及
2025年06月20日
-
2025年5月貿易統計
輸出数量は横ばい圏を維持も、円高効果等で輸出額は8カ月ぶりに減少
2025年06月18日
-
2025年4月機械受注
民需(船電除く)は減少し、コンセンサス通りの結果だった
2025年06月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日