経済指標の要点(4/18~5/17発表統計分)

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2018年05月17日

  • エコノミスト 山口 茜
  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太
  • 小林 俊介
  • 政策調査部 研究員 中村 文香

サマリー

◆2018年3月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比+1.4%となり、2ヶ月連続で増加した。他方、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比▲3.9%と3ヶ月ぶりに減少した。製造業が同▲17.5%と大幅に減少したことが全体を押し下げた。3月の製造業の受注は大幅に減ったものの、1-3月期では前期比+2.5%と4四半期連続の増加となった。4-6月も同+9.9%を見込んでおり、堅調さが維持される見込みだ。一方、非製造業(船電を除く)は2017年度で前年度比▲7.8%となった。ただし、1-3月期実績が前期比+3.4%、4-6月期見込みは同+3.7%となっており、持ち直しの動きが見られている。

◆2018年3月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲0.1%と2ヶ月連続で減少した。今回の減少は小幅であるが、教育費の大幅増に支えられており、全体としては弱い。他方、3月の完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの2.5%となった。また、有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し1.59倍、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し1.08倍となった。

◆今後発表される経済指標では、6月1日発表予定の1-3月期法人企業統計に注目したい。1-3月期の企業の経常利益は、高水準を維持するものの、2017年前半までの増加ペースが速かった反動や、円高・原油価格の上昇を背景に、弱い動きになるとみている。輸出関連の製造業では、米欧など先進国を中心とした世界経済の拡大がもたらすプラス効果が期待される一方で、円/ドルレートが円高方向に動いた点は懸念材料だ。また、エネルギーコストの増加も、円高によって影響は多少緩和されるものの、収益面からみればマイナス要因となろう。他方、非製造業に関しては、製造業に比べて売上が順調に増加している点は好材料だが、様々な投入コストの上昇を背景に、1-3月期も経常利益の頭打ち状態が続くとみている。 

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