サマリー
◆2018年3月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比+1.4%となり、2ヶ月連続で増加した。他方、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比▲3.9%と3ヶ月ぶりに減少した。製造業が同▲17.5%と大幅に減少したことが全体を押し下げた。3月の製造業の受注は大幅に減ったものの、1-3月期では前期比+2.5%と4四半期連続の増加となった。4-6月も同+9.9%を見込んでおり、堅調さが維持される見込みだ。一方、非製造業(船電を除く)は2017年度で前年度比▲7.8%となった。ただし、1-3月期実績が前期比+3.4%、4-6月期見込みは同+3.7%となっており、持ち直しの動きが見られている。
◆2018年3月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲0.1%と2ヶ月連続で減少した。今回の減少は小幅であるが、教育費の大幅増に支えられており、全体としては弱い。他方、3月の完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの2.5%となった。また、有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し1.59倍、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し1.08倍となった。
◆今後発表される経済指標では、6月1日発表予定の1-3月期法人企業統計に注目したい。1-3月期の企業の経常利益は、高水準を維持するものの、2017年前半までの増加ペースが速かった反動や、円高・原油価格の上昇を背景に、弱い動きになるとみている。輸出関連の製造業では、米欧など先進国を中心とした世界経済の拡大がもたらすプラス効果が期待される一方で、円/ドルレートが円高方向に動いた点は懸念材料だ。また、エネルギーコストの増加も、円高によって影響は多少緩和されるものの、収益面からみればマイナス要因となろう。他方、非製造業に関しては、製造業に比べて売上が順調に増加している点は好材料だが、様々な投入コストの上昇を背景に、1-3月期も経常利益の頭打ち状態が続くとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7月全国消費者物価
単月で見れば弱めの結果も上昇基調は引き続き強い
2025年08月22日
-
2025年7月貿易統計
トランプ関税や半導体関連財の需要一服で輸出金額は3カ月連続の減少
2025年08月20日
-
2025年6月機械受注
非製造業(船電除く)の増加で船電除く民需は3カ月ぶりに増加
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日