新指標、消費動向指数(CTI)に注目

他の消費関連統計や統計的手法で家計調査を補完

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2018年03月09日

  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太

サマリー

◆2018年1月分から、代表的な消費統計である家計調査が一部変更されると同時に、消費動向指数(CTI)と呼ばれる新しい指標が作成される。CTIは、代表的な消費統計である家計調査とその他の消費関連統計・調査を合成し、時系列分析などの統計的な手法を用いることで、家計調査では対処しきれなかった課題に応える指標である。本稿では、CTIの概要を説明し、どのような課題に対応しているのか論点整理を行う。

◆CTIには二種類あり、世帯消費動向指数(CTIミクロ)と総消費動向指数(CTIマクロ)の二つの指数が作成される。CTIミクロは、世帯ベースの消費動向を見る指標である。家計調査の結果を家計消費単身モニター調査と家計消費状況調査の結果などで補正・補強する形で作成される。家計調査と同様に世帯属性別、費目別で消費の動向を見ることができる。

◆CTIマクロは、GDPの家計最終消費支出の動きを月次で推測する指標である。家計調査の他に、商業動態統計調査や第3次産業活動指数など供給側の統計データを説明変数とする時系列回帰モデルを利用することで、GDP統計の月次動向を推測する指標となっている。

◆CTIミクロでは、調査対象に単身世帯が含まれており、経済全体の実態が掴みやすい、標本規模の拡大や記入方法の変更で「誤差」が軽減される等の利点が期待される。さらにCTIマクロでは、四半期ベースでしか見ることのできないGDP統計の家計最終消費支出を月次で推測できるという利点がある。

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