介護ロボット開発に求められる視点

施設介護型から在宅介護型へ

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2017年12月18日

サマリー

◆深刻化する介護人材不足に対して、介護ロボットの活用が期待されている。本稿では、確認されている介護ロボットの活用による効果や課題についてまとめる。さらに、スウェーデンの介護ロボット・ICT導入の在り方から、国内に不足している高齢者の自立支援という視点からのロボット開発について考察する。


◆介護ロボットの導入によって、一部の事業所では、介護職員の負担の軽減やサービスの質の向上が確認されている。しかし、こうした事例はまだ少ない。介護ロボット導入のハードルとして、高額な費用負担の問題や、介護職員の配置基準の問題、介護ロボットの開発の方向性と利用者側のニーズとのミスマッチなどが挙げられる。介護ロボットの導入促進には、これらの課題への対応が必要だろう。


◆他方、これまでの介護ロボットの開発が、日本の介護政策の方向性に適したものと言えるのかという点については疑問が残る。介護施設が不足する日本では、今後、多くの高齢者が在宅ケアを選択することになる。しかし、これまで開発・導入が進められてきた介護ロボットの多くは、施設での利用を中心に考えられているものが多い。今後は、増加する高齢単独世帯の介護ニーズ等に対応するような介護ロボットの開発にも注力すべきであろう。


◆高齢者介護において在宅主義を貫くスウェーデンでは、日常的なICTの利活用や、サービスの質を維持したまま効率化を図る在宅用ロボット導入によって、高齢者の自立支援を進めている。同国の取り組みから学ぶべきことは少なくないだろう。

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