経済指標の要点(7/20~8/16発表統計分)

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2017年08月16日

  • 山口 茜
  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太
  • 政策調査部 政策調査部長 近藤 智也
  • 小林 俊介
  • 鈴木 雄大郎

サマリー

◆2017年6月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比+2.2%と2ヶ月ぶりの上昇となった。一方で、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同▲1.9%と3ヶ月連続で減少した。需要者別に受注を見ると、製造業は同▲5.4%と5ヶ月ぶりに減少した。輸出拡大に伴う稼働率の上昇を受けて、受注動向は緩やかな増加が続いてきたものの、一服感が見られる。非製造業(船舶・電力を除く)は同+0.8%と4ヶ月ぶりに増加した。内閣府が新たに公表した7-9月期見通しは、非製造業が大幅なプラスになると見込んでいる。


◆2017年6月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比+1.5%と3ヶ月連続で増加した。実質消費支出は、均してみれば回復の兆しが見られる。また、完全失業率(季節調整値)は前月から0.3%pt低下し2.8%、有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02pt上昇し1.51倍となった。先行きの労働需給は、非製造業を中心とする高い労働需要を背景に、タイトな状況が続く見通しである。ただし、ほぼ完全雇用状態に達しているため、就業者数の増加ペースは緩やかなものにとどまるとみている。


◆今後発表される経済指標では、9月1日発表予定の4-6月期法人企業統計に注目したい。4-6月期の生産は増産基調が維持されており、売上高の押し上げ要因になるとみている。一方で、気がかりな点も存在する。輸出関連製造業では、2017年に入ってから円高方向に振れたことが、ラグを伴って重石になろう。また、非製造業では、人件費などの投入コストの上昇を背景に経常利益の頭打ち感が強まる見込みだ。経常利益は高水準を維持する可能性が高いものの、プラス要因とマイナス要因が交錯する中で、3期連続で過去最高を更新するか否かが注目される。

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