サマリー
◆2017年4月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は前月比+4.0%と大幅な上昇となった。一方で、機械受注(船舶・電力を除く民需)は同▲3.1%と3ヶ月ぶりに減少した。需要者別に受注を見ると、製造業は同+2.5%と3ヶ月連続で増加したが、均して見ると、横ばい圏で推移している。また、非製造業(船舶・電力を除く)は同▲5.0%と2ヶ月連続で減少し、高水準で推移してきた受注動向には一服感が見られる。
◆2017年4月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比+0.5%と2ヶ月ぶりの増加となった。実質消費支出は年初来底堅い推移を見せており、均してみれば回復の兆しがうかがえる。また、完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの2.8%、有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.03pt上昇し1.48倍となった。先行きの労働需給は、非製造業を中心とする人手不足感の継続を背景に、タイトな状況が続く見通しである。
◆今後発表される経済指標では、7月3日発表予定の6月日銀短観に注目している。とりわけ、製造業の業況判断DIの改善が期待される。4月貿易統計や鉱工業生産に見られる堅調な輸出や国内生産を踏まえると、製造業の業況感は改善が続くとみている。さらに、3月日銀短観では、大企業製造業の2017年上期の想定為替レートが1ドル=108.45円に設定されていたが、足下の為替レートがそれよりやや円安水準にあることも押し上げ要因となるだろう。他方、非製造業に関しても、3月日銀短観では先行きに対して慎重な見方があったものの、足下の企業マインドの動向を踏まえると、改善が続くとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日