サマリー
◆所得が伸び悩む中、消費が底堅く推移して見えるのは、財産所得をフル活用しながら消費をなんとか支えているためであり、労働所得では消費を賄えていない。
◆超少子高齢社会の到来は、マクロ的には余暇の拡大や外出の必要性の低下、自分の体の健康や持家などのストックの維持のための費用を増やすことになるので、それに応じた消費配分の変化が超少子高齢社会の消費の特徴と言える。
◆一方、マクロの消費の理論値を推計すると、実際の消費額が理論値よりも特段大きくなっているというわけではなく、消費性向の高い高齢者の割合の増加で消費が押し上げられているわけではない。超高齢化でも実際の金融資産額は増え続けており、所得がなかなか増えない中で、金融資産から得られる財産所得によって足元の消費は支えられている。
◆ただし、消費の本格的な底上げには、所得を効率的に生み出し、人々の将来所得に対する不確実性を減らすことが急務だろう。例えば、イノベーションや競争を促進する成長戦略や雇用流動性を高める雇用制度改革だけでなく、所得が世代間でバランス良く分配される財政・社会保障改革を進めることが重要だ。高齢者や専業主婦の就業を促す公的年金等控除の縮小や社会保険料の配偶者控除等の廃止などに加えて、低所得世帯の子どへの教育支援についても議論を進めるべきだと考える。
◆日銀が2016年1月末に導入したマイナス金利の影響については、円安や国内の株高につながり、消費が上向く可能性はある。しかし、マイナス金利は人々の将来の財産所得の低下を意識させることで、むしろ家計貯蓄率が増える可能性もある。このようにマイナス金利には、消費に両方の影響がありうることを留意しておく必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年1月全国消費者物価
エネルギー価格や食料品価格などの伸び率縮小がコアCPIを押し下げ
2026年02月20日
-
2025年12月機械受注
大型案件による押し上げもあり、船電除く民需は大幅に増加
2026年02月19日
-
2026年1月貿易統計
米国関税の影響続くも、AI・データセンター需要が輸出をけん引
2026年02月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日

