サマリー
◆2015年8月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比+2.5%増加した。振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)も同+1.5%と増加した。サンプル数の少なさゆえの振れにより、ヘッドラインの数値が大きく押し上げられている点は割り引いて評価する必要があるものの、このところ力強さを欠いていた消費支出に底入れの動きがみられる。
◆実質消費支出の動きを費目別にみると、「教育」(前月比+20.6%)、「家具・家事用品」(同+9.4%)、「光熱・水道」(同+3.1%)、「諸雑費」(同+2.5%)、「住居」(同+1.5%)、「被服及び履物」(同+0.3%)への支出が増加した。「教育」に関しては、授業料への支出が急激に増加しているが、サンプルバイアスによる振れの影響と捉えるのが自然であろう。「家具・家事用品」については、8月上旬に気温が例年よりも高く推移したことが「冷暖房器具」への支出の増加に繋がったとみられる。
◆先行きの個人消費は、所得環境の一層の改善を受けて、緩やかな持ち直しへ向かうとみている。個人消費の前提となる賃金の動きを確認すると、一般労働者、パートタイム労働者の双方で上向いている。さらに、年金改定率も上昇に転じたことが、高齢者の個人消費を下支えする見込みである。夏場以降の原油安が燃料費調整制度を通じて引き続き物価を押し下げることが、家計の実質購買力を一層高めるだろう。このように個人消費を取り巻く環境は良好であり、先行きの個人消費を下支えするとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
-
2025年4月消費統計
総じて見れば前月から概ね横ばい、先行きも横ばい圏で推移しよう
2025年06月06日
最新のレポート・コラム
-
医療等情報の二次利用に向けた環境整備
医療DXの効果を可視化し、一次利用を広げることがカギ
2025年06月12日
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
議決権行使助言業者規制を明確化:英FRC
スチュワードシップ・コード改訂で助言業者向け条項を新設
2025年06月10日
-
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進に求められるものとは
グロース市場改革の一環として、東証内のIPO連携会議で経営者向け情報発信を検討
2025年06月10日
-
「内巻」(破滅的競争)に巻き込まれる中国自動車業界
2025年06月11日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日