サマリー
◆2015年8月の全国コアCPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は前年比▲0.1%と、市場コンセンサス通りの結果となった。コアCPIの前年比がマイナスとなるのは2013年4月以来2年4ヶ月ぶりのことである。これは、昨年の夏場以降の原油安に伴う「電気代」と「ガス代」の下押し圧力が、時間的なラグを伴って顕在化し始めたことに加え、最近の原油安を受けて「ガソリン」の前年比マイナス幅が拡大したことによる。
◆2015年9月の東京コアCPI(中旬速報値)は、前年比▲0.2%(8月同▲0.1%)と3ヶ月連続のマイナスとなり、マイナス幅も拡大した。東京コアCPIの結果を踏まえると、9月のコアCPIは前年比▲0.2%となる見込みである。
◆先行きのコアCPIの前年比は、基調として見ると、しばらく小幅なマイナス圏で推移すると考えている。世界経済の減速懸念の高まりなどから「リスクオフ」の円高が進むなど、消費者物価に対して新たな下押し圧力が生じている点にも注意したい。
◆日本銀行が10月30日に公表する予定の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、最近のエネルギー価格の動向を踏まえて、2016年度のコアCPIの見通しが機械的に下方修正される見込みであり、この修正と同時にインフレ目標の実現タイミングが後ずれされるか否かが大きな焦点となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

