8月全国消費者物価

コアCPIは前年比マイナスへと転落、下方向へのリスクも残る

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2015年09月25日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆2015年8月の全国コアCPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は前年比▲0.1%と、市場コンセンサス通りの結果となった。コアCPIの前年比がマイナスとなるのは2013年4月以来2年4ヶ月ぶりのことである。これは、昨年の夏場以降の原油安に伴う「電気代」と「ガス代」の下押し圧力が、時間的なラグを伴って顕在化し始めたことに加え、最近の原油安を受けて「ガソリン」の前年比マイナス幅が拡大したことによる。


◆2015年9月の東京コアCPI(中旬速報値)は、前年比▲0.2%(8月同▲0.1%)と3ヶ月連続のマイナスとなり、マイナス幅も拡大した。東京コアCPIの結果を踏まえると、9月のコアCPIは前年比▲0.2%となる見込みである。


◆先行きのコアCPIの前年比は、基調として見ると、しばらく小幅なマイナス圏で推移すると考えている。世界経済の減速懸念の高まりなどから「リスクオフ」の円高が進むなど、消費者物価に対して新たな下押し圧力が生じている点にも注意したい。


◆日本銀行が10月30日に公表する予定の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、最近のエネルギー価格の動向を踏まえて、2016年度のコアCPIの見通しが機械的に下方修正される見込みであり、この修正と同時にインフレ目標の実現タイミングが後ずれされるか否かが大きな焦点となる。

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