サマリー
◆2014年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.6%)となった。プラス成長は3四半期ぶりであり、増税後の景気悪化からの持ち直しを確認させる結果であったと言える。ただし、成長率自体は決して低くはないものの、市場コンセンサス(前期比年率+3.7%、前期比+0.9%)を下回っておりネガティブな印象。市場予測から下振れした要因は、高い伸びが期待されていた個人消費の伸びが小幅なものに留まったこと。
◆需要項目別の内訳を見ると、個人消費は前期比+0.3%と2四半期連続の増加となった。実質雇用者報酬は前期比+0.1%と2四半期連続の増加となっており、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費は緩やかな持ち直しが続いている。しかし、市場予測では増勢の加速が期待されていたが、7-9月期と同程度の伸びに留まり、力強さに欠く結果であったと言える。
◆今回の結果では実質GDPは3四半期ぶりのプラス成長になり、消費税増税後の低迷から持ち直しに向かう動きが確認された。2015年1-3月期以降も実質GDPは増加基調が続く見通しであり、先行きの日本経済は緩やかな拡大が続くと見込んでいる。個人消費については、家計を取り巻く良好な雇用・所得環境を主因に、増加傾向が続くとみられる。また、2014年夏からの原油価格の急落によって消費者物価が押し下げられることで、家計の実質賃金が押し上げられることも、個人消費増加の追い風となるとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
-
日本財政の論点 – PB赤字と政府債務対GDP比低下両立の持続性
インフレ状態への移行に伴う一時的な両立であり、その持続性は低い
2025年10月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日