サマリー
◆本稿では、消費税率引き上げの影響を整理するとともに、足下の消費動向を財・サービス別に分析する。そのうえで、個人消費の先行きについて展望したい。
◆そもそも消費税率の引き上げは個人消費に対して、①「駆け込み需要とその反動」、②「実質所得の減少」という2つのルートから影響を与える。
◆耐久財は価格弾性値の絶対値が高いので駆け込み需要が大きくなりやすいことに加えて、異時点間の代替性が高いことも駆け込み需要に拍車をかける。さらに、所得弾性値の絶対値も高いことから、実質所得減少の影響を大きく受ける種類の財である。このように耐久財については、①「駆け込み需要とその反動」、②「実質所得の減少」という消費税率引き上げの2つの影響を大きく受けるため、持ち直しには時間がかかるとみている。非耐久財は4-6月期に前期比▲6.9%と大幅に減少し、事前に推計された駆け込み需要の規模と実質所得減少の影響を考慮しても、説明しきれないほどの落ち込みであった。
◆全体としてみれば、7-9月期の個人消費は概ね想定通りの落ち込み具合であったと言えるだろう。7-9月期は天候に恵まれなかったことが個人消費を下押ししたものの、反動減の影響が着実に緩和されることで、個人消費は徐々に増加基調に復するとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
高市政権における実質賃金上昇の鍵は?
政策・改革の推進で40年度までの実質賃金は年率1.2~1.6%程度に
2025年12月01日
-
2025年10月雇用統計
雇用環境の改善が進み、就業者数は過去最高を更新
2025年11月28日

