サマリー
◆7月の企業関連の指標は、緩やかな持ち直しの動きを示す内容であった。鉱工業生産指数は前月比+0.4%と2ヶ月ぶりに上昇した。輸出数量指数(内閣府による季節調整値)は前月比▲0.4%と低下した。機械受注(船舶・電力を除く民需)(季節調整値)は、前月比+3.5%と2ヶ月連続で増加。先行きは、輸出の増加が生産を下支えする見込みである。企業収益の改善と設備投資の不足感の強まりから、機械受注も増加基調が続くとみている。
◆7月の家計関連の指標は、個人消費では反動減から緩やかに回復ペースが鈍化していることが示され、雇用環境に関しては回復傾向が一服していることが確認された。実質消費支出は季節調整済み前月比▲0.2%と減少した。振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)で見ても、同▲0.8%の減少であった。完全失業率(季節調整値)は前月から0.1%pt上昇し、3.8%となった。有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.10倍であった。先行きは、労働需給のタイト化が賃金上昇をもたらす見込みである。所得環境が改善に向かうことで、個人消費も消費税増税後の反動減から増加基調に復するとみている。
◆9月30日に公表される労働力調査と一般職業紹介では、雇用情勢の改善度合いを見極めたい。このところ、失業率は上昇が続き、有効求人倍率や新規求人倍率は頭打ちとなっている。これには、消費税率引き上げに伴う内需の低迷から、生産調整の影響を受けて労働需給が緩和していることが影響している可能性がある。しかし、増税の影響が一巡し内需が回復に向かうことで、このような状況は徐々に緩和される見込みである。このため、8月の雇用関連統計では雇用情勢が改善傾向へ復するか否か、に注目している。先行きを占う意味では、日銀短観で公表される雇用人員判断DI(先行き)も注目度が高い。有効求人倍率との連動性が高く、企業が先行きの労働需給をどのように見通しているかを確認したい。
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