サマリー
◆5月の企業関連の指標は、弱い動きを示す内容であった。鉱工業生産指数は(季節調整値)は前月比+0.7%と、2ヶ月ぶりに上昇したものの、4月の落ち込みと比べると上昇幅は小さい。輸出数量指数(大和総研による季節調整値)は前月比▲2.1%と低下し、機械受注(船舶・電力を除く民需)(季節調整値)は、前月比▲19.5%と過去最大の減少幅を記録した。5月の指標は企業部門の足踏みを示すものが多かったが、先行きは、海外経済成長率の高まりが輸出を増加させることで、生産も増加基調に向かう見込みである。また、企業収益の改善と設備投資の不足感の強まりから、機械受注も増加基調が続くとみている。
◆5月の家計関連の指標は、個人消費の回復が鈍い一方で、雇用環境の改善が続いていることを示す内容であった。実質消費支出(季節調整値)は前月比▲3.1%と、4月に引き続き減少した。現金給与総額は前年比+0.6%と3ヶ月連続で前年を上回り、所定内給与は2年ぶりにマイナス圏から脱した。完全失業率(季節調整値)は3.5%となり、前月から0.1%pt低下した。有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍と前月から0.01pt上昇した。先行きは、雇用・所得環境の改善により、個人消費も徐々に持ち直しの動きを強めていく見込みである。
◆8月13日に公表される4-6月期のGDP(一次速報)では大幅なマイナス成長が予想される。個人消費と住宅投資で駆け込み需要の反動減が本格化した模様だ。特に、個人消費の基礎統計である家計調査によると、実質消費支出は反動減からの回復が鈍く、個人消費の大幅な減少がGDPを押し下げることは必至である。一方、駆け込み需要により減少した在庫を積み増す動きから、在庫投資の増加はGDPを押し上げる見込み。加えて、1-3月期に駆け込み需要によって急増していた輸入が4-6月期には大幅な減少に転じたことから、外需についてもプラスに寄与したとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
-
2025年4月消費統計
総じて見れば前月から概ね横ばい、先行きも横ばい圏で推移しよう
2025年06月06日
最新のレポート・コラム
-
医療等情報の二次利用に向けた環境整備
医療DXの効果を可視化し、一次利用を広げることがカギ
2025年06月12日
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
議決権行使助言業者規制を明確化:英FRC
スチュワードシップ・コード改訂で助言業者向け条項を新設
2025年06月10日
-
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進に求められるものとは
グロース市場改革の一環として、東証内のIPO連携会議で経営者向け情報発信を検討
2025年06月10日
-
「内巻」(破滅的競争)に巻き込まれる中国自動車業界
2025年06月11日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日