サマリー
◆1月の企業関連の指標は、改善が継続していることを確認する内容であった。鉱工業生産指数(季節調整値)は、前月比+3.8%と2ヶ月連続の上昇となった。輸出数量指数(内閣府による季節調整値)は前月比▲0.7%と、2ヶ月連続の低下となった。機械受注(船舶・電力を除く民需)(季節調整値)は、前月比+13.4%と2ヶ月ぶりに増加した。企業関連の指標の先行きは、海外経済の回復による外需の拡大と、企業収益の改善に伴う設備投資の増加を背景に、改善傾向が続くとみている。
◆1月の家計関連の指標は、家計部門の改善が継続していることを確認させる内容であった。完全失業率(季節調整値)は3.7%となり、前月と変わらなかった。有効求人倍率(季節調整値)は1.04倍と前月から0.01pt上昇した。実質消費支出は季節調整済み前月比+1.6%と前月から増加、振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)で見ると、同+2.7%と3ヶ月連続で増加している。先行きの家計関連の指標は、企業部門の回復が所得・雇用に波及することで、堅調な推移が続くとみている。
◆4月1日に発表される日銀短観では、企業の業況判断DIに注目している。企業収益の改善を背景に、製造業、非製造業ともに、業況判断DI(最近)は改善が続くことが予想される。一方、業況判断DI(先行き)に関しては、消費税増税の影響で大きく悪化する見込みである。ただし、1997年の消費税増税時の短観の動きを見ると、1997年3月短観ではすべての業種、企業規模で業況判断DI(先行き)が悪化したが、1997年6月短観の製造業業況判断DI(最近)は大企業、中小企業の双方で改善した。企業は消費税増税に対して過度に悲観的になっていたが、実際にはビジネス環境の悪化は限定的だったのである。今回の増税においても、同様の傾向が生じる可能性があるため、業況判断DI(先行き)の数値は幅を持って解釈する必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日