2013年4-6月期GDP1次速報

市場予想から下振れするも、内容は悪くない

RSS

2013年08月12日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2013年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.6%(前期比+0.6%)と3四半期連続のプラス成長となったものの、市場コンセンサス(前期比年率+3.6%、前期比+0.9%)を下回った。プラス転換を見込む向きが多かった設備投資が減少したこと、在庫投資が大幅に押し下げに寄与したことが、市場予想を下回った主な要因。


◆ただし、内需寄与度は前期比+0.5%ptと3四半期連続のプラス寄与となり、外需寄与度も同+0.2%ptと2四半期連続のプラス寄与となっており、総じてみれば内・外需のバランスがとれた成長が続いている。また、在庫投資の減少がGDPを大きく押し下げていることから、ヘッドラインほどには悪い内容ではないといえる。4-6月期GDPは消費税率引き上げの重要な判断材料となるが、今回の結果を踏まえて、消費税増税は予定通り行われると見ている。


◆先行きに関して、7-9月期以降もGDPは増加傾向が続くと見込んでいる。輸出に関しては、中国経済の下振れリスクなどには留意が必要ではあるものの、米国を中心とした海外経済の拡大に加えて、2012年末からの円安による押し上げ効果がラグを伴って発現することで引き続き増加傾向が続くとみられる。また、輸出の増加による企業収益の改善は、家計所得の増加を通じて個人消費へも波及する見込みである。低迷が続く設備投資に関しても、企業収益やマインドの改善に伴って、増加に転じる公算が大きい。さらに、公共投資が2012年度補正予算の執行に伴い再加速する公算が大きいこと、2014年4月(予定)の消費税増税に向けて、個人消費、住宅投資では、年度後半に向けて駆け込み需要が発生する可能性が高い、といった要因もあり、2013年度内は成長率が徐々に加速していく見込みである。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。